劣化原因No1 木材腐朽菌

木材の劣化原因No1は、木材腐朽菌(ふきゅうきん)です。腐朽菌の食害が進行した木材は、内部が分解され、スカスカになっていきます。密度が低くなれば、当然ながら重量も軽くなります。木材の重量が10%軽くなると、強度は60%に落ち、20%軽くなると、強度は40%にまでも低下してしまうのです。

腐朽菌は一般に言われるカビではありません。カビは木を食べているわけではありませんが、腐朽菌は木を食べて分解しているのです。それが木材の強 度を落とし、住宅の安全性と寿命を損なうことになってくるのですから、もっと一般の方々にも腐朽菌の怖さが伝わるよう、日本の建築業界でも対策を研究すべ きだと思います。

阪神淡路大震災で崩壊した木造住宅の、実に8割にシロアリや木材腐朽菌による劣化が確認され、木造住宅の耐震性とその持続力が問題となり、木造住宅等震災調査委員会が結成されました。
その調査結果をまとめた「平成7年度阪神・淡路大震災木造住宅等調査報告書」(公益財団法人日本住宅・木材技術センター発行)によれば、1981年に改正された現行の耐震基準に適合し、なおかつ適切な施工管理、工事管理が行なわれた木造軸組住宅は、見た目に大きな被害が確認されないか、あるいは軽い被害にとどまっているものがほとんどだったといいます。
木材腐朽菌は、湿度30%以上になると活動をはじめます。高温多湿の日本では、木造で住宅を建てる場合、腐朽菌の対策を頭に置かねばなりません

     住宅に被害をもたらす主なシロアリ

 

 

住宅に大きな被害をもたらしてきたのは、在来種のヤマトシロアリ(写真二つ目)と外来種のイエシロアリ(写真一つ目)でした。

 

 

ヤマトシロアリは日本で最も数の多いシロアリで、北海道の一部を除く、日本全域に生息し、イエシロアリは攻撃力が最も強い種で、温暖化にともない、生息範囲の拡大が指摘されています。

戦後アメリカから持ち込まれたアメリカカンザイシロアリ(左写真)は、イエシロアリやヤマトシロアリとは異なって、乾燥した木材を好みます。羽があるため、屋根裏や2階の窓枠などからの侵入が可能なうえ、一度住みつくと駆除が大変困難です。

       ヒラタキクイムシもあなどれない

木材に被害を与える害虫は、シロアリだけではありません。キクイムシやヒラタキクイムシ(名前は似ていますが異なる種類の虫です)、カミキリムシ、タマムシ、キバチ、クロタマムシなど、いわゆる木材劣化昆虫と呼ばれる虫たちは、まだまだたくさん存在しています。
この中で特に住宅に被害をもたらすのは、ダントツにヒラタキクイムシです。
もともと南方系の昆虫で、日本では明治初期にすでに存在が確認されていましたが、戦後、繁殖に適する輸入ラワン材の使用が増加したことから、急激に被害が増えてきました。
主に九州から関東までの比較的温暖な地域に生息していますが、室内暖房効果の高まりや高気密高断熱化住宅が普及したこともあって、近年は寒冷地にまで繁殖が拡大しています。

狙うのは広葉樹の木材で、表面に近い辺材部分の導管(水を吸い上げる樹木内部の管)に卵を生みつけます。木材の中で孵ふか化した幼虫は、木材のデンプンを食べながら、内部を掘り進んでいき、大きな食害を与えます。
フローリング、壁の合板、天井、家具などがよく被害に遭っています。針葉樹を狙うことはありません。

そして、成虫に育つと、春から夏にかけた時期に、木材表面に穴をあけて飛び立ちます。
その後には穴から掃き出された糞と、木屑(木材のかじりかす)が残ることで、はじめて食害に気づくことも多いのです。
ところが、その痕跡に気づいた時にはすでに成虫は飛び去っていますから、もう被害が収まったと思ってそのままにしておくと、翌年また発生するということを繰り返します。そのため痕跡を発見したときは、確実な駆除を行なう必要があります。特に新材を好むとされ、築2~3年辺りが最も被害に遭いやすいようです。

        カビは劣化原因の四番目

カビは台所や洗面所など、どこにでも日常的に発生しますから、「たかがカビ」で済まされてしまいがちのものです。しかし、住宅にとっては「されどカビ」であり、劣化の大きな原因になるとともに、居住者の健康にも影響をもたらすものです。

ハワイのヒルトンハワイアンビレッジでは、客室、廊下などに大規模なカビの発生があったとして、建築会社に訴訟を起こし、関係18社に合計約20億円の損害賠償命令が裁判所からくだされたこともありました。訴訟大国のアメリカでは

カビ被害の第一は、まず建物の美観が損なわれることです。壁や窓枠がカビで変色していたり、しみだらけになっていても、建物をいつも見慣れている住人は意外と見逃しがちなのですが、たまに訪ねてきたお客さんの目には強く印象に残るもの。せっかくの家構えが台なしになりますし、カビは不衛生の象徴でもありますから、訪問客の印象を落としかねません。

カビの種類によっては、胞子がアレルギーの原因となる場合もあります。同時に、カビをエサとするダニが発生すれば、このダニもアレルゲンとなります。カビとダニの発生は、アレルギー疾患の家族を持つ家庭にとっては、健康上の大きな脅威です。
1999年、フロリダ州にあるメイヨクリニックの研究室が発表した研究結果によると、慢性の副鼻腔炎(蓄膿症)は、住環境でもよく浮遊している菌類(カビなど)が原因であるとされています。
また、アメリカの人口の約20%がアレルギー疾患をもっており、その中でも「喘息患者」を一番苦しめるのは空気中のカビであるとのことです。

そして、外来種アメリカカンザイシロアリが加わります

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