こんにちは。
長寿命住宅のオフィシャルサイトができました。
様々な角度から、健康住宅づくりの情報提供を
させていただきます。
株式会社アルラ 代表取締役 岩月 淳
~ 人や環境にも配慮する ~
再施工が不要の防腐・防蟻処理
このたび、阿弥陀堂ご修復工事の終盤として、床下のシロアリや木材腐朽菌に対する予防工事を行いました。長期間で大規模に行われたご修復後のお姿を、末永く継続するための、大切な役割となります。
日本は高温多湿なため、多くの伝統建築物は、木材を腐らせる「木材腐朽菌」や「地下シロアリ」などによる被害を受けやすい環境にありますが、このたびのご修復におかれましても、多くの被害個所での改修工事がございました。
「アリの穴から堤も崩れる」といいますが、目の届きにくい床下への意識を怠ると、再び大規模なご修復の必要性を後世に残してしまうこととなります。
ここで使用した溶剤は、時代のながれに伴って、環境や人々の健康にも配慮した、天然鉱物の「ホウ酸」を主原料としたもので、日本では比較的新しく、実績が広まりつつあるものです。
従来から日本のシロアリ対策には、農薬系薬剤が主流でしたが、強い作用で駆除には優れているものの、効果が一時的であるため、5年毎の継続した予防工事をしなければならないものでした。
一方、ホウ酸が主原料の予防剤は、成分が天然の鉱物であるため、雨にあたらない限り効果は半永久的で、再施工も不要となります。
採用に至っては、京都大学での野外防蟻試験、公的機関の認定、健康への影響、環境省の見解、海外での実績調査、そしてコストパフォーマンスなど、専門家を交え3年余りの検討が重ねられました。また、米・NZ・豪州などシロアリ被害の多い先進国では、ホウ酸による予防剤が古くから主流になっていることも解りました。
ホウ酸といえば、ゴキブリの「ホウ酸団子」を思い出しますが、目薬の原料や、小学校では理科の実験で、スライムの原料などにも使用されています。
人には安全な鉱物ではありますが、排泄器官の腎臓を持たない昆虫たちは、機能障害をさけるために、本能的にホウ酸を含むものを食べることはありません。
ゴキブリのホウ酸団子は、その効果を逆に利用して、ゴキブリが好む玉ねぎや砂糖・小麦粉などを混ぜているというものです。
ご修復後に浸透したホウ酸によって、昆虫が柱や板などの木造建築物を食べることはなくなり、彼らは野外の落ち葉、枝などを食べて生きていくようになります。
ホウ酸処理は、自然界の生き物たちと伝統木造建築物が、それぞれ共存するための、境界線の役割に例えることもできます。
また、このたびの施工により、社寺仏閣の劣化原因として最も多く発生する、「木材腐朽菌」の発生は抑えられ、難燃効果からは「火災の予防」、そして金具も錆びにくくなるため、「耐震性の維持」へと働きは広がります。
エジプトの壁画には、3000千年程前にホウ酸で描かれた絵画が、今もなお残されているといいますが、このたびの予防施工によって、今後何百年、何千年もの間、今と変わりないご修復後のお姿が残されることを祈念いたしております。
石川県金沢市内で建材店さんの主催する展示会にてエコボロンの出店をしています。
エコボロンを含むホウ酸系防蟻剤の普及率は1~2%程度とあって、まだまだ知られていないのが現状です。
① 「新築時に施工をすると、5年ごとの再施工が要りません」
まず、この一言で多くの方はビックリされます。
日本では農薬系の殺虫剤が主流なため、5年毎の再施工が
業界の常識になっている為です。
② 「エコボロンは室内の用途にも使えます」
次にこの言葉で、シロアリ予防剤の概念が変わります。
木造住宅を守る為には、シロアリの予防は欠かせませんが、
薬剤に良いイメージを持っている方は少ないようです。
施工者にマスクを必要としないエコボロンは、
室内の防カビ、防火対策として使用することができるものです。
説明は続きますが、施主さんへ直接説明することができれば、
大体採用に結びつきます。
建築会社さんに説明をした場合、その建築会社さんの意識の高さに依存します。
現在取引をしている業者さんとの関係、仕様変更をすることの手間、
僅かですが価格が上がることへの懸念、細かい理由があるからです。
最終的に施主さんが喜ぶような家づくりができる工務店さんが
これからの時代に生き残っていくと考えます。
如何でしょう?
エコボロンの環境影響について
ホウ酸を主原料とした木材保存剤「エコボロン」散布時に、土壌に落下する少量のホウ酸と、環境省が定める「土壌汚染対策法」との関係を、京都府の環境省に電話で問い合わせた内容をQ&Aの形式で下記にまとめます。
Q:1
建築物の床下・構造材などの木部に、防腐・防蟻剤として使用する「ホウ酸」について、使用用途は木材に限定しますが、散布中土壌に少量落下します。
環境省の定める土壌汚染対策法との関係性を説明してください。
A:土壌汚染対策法は、
有害物質使用特定施設の使用の廃止時【第三条】、
一定規模以上(3,000平米)以上の、土地の形質の変更届出の際に、土壌汚染のおそれがあると、京都市長がみとめるとき【第四条】
土壌汚染により、健康被害が生ずる恐れがあると京都市長が認めるとき【第五条】
に調査を行い、指導されるものです。
上記の建築物に当てはまらない場合、土壌汚染対策法にすぐさま関連するものはありません。
Q:2
土壌汚染対策法にある規制項目にホウ素が含まれ、その基準値は1リットル中に1mg以下とされていますが、通常の防蟻施工では、施工中に土壌に落下するホウ酸が高濃度であるため、少量の落下でも基準値を上回る可能性があります。
この場合、土壌汚染対策法に抵触し、法の裁きをうけるのですか?
A:土壌汚染対策法には罰則はありません。
しかし、建物の解体なので、その土地の土を他の場所に移動する際、基準項目が基準値以上あった場合、残土処理業者では受け入れられず、特別産業廃棄物として指定業者に持ち込む必要があります。
つまり持ち込み先が、残土処理業者から、特別産業廃棄物業者へとかわります。
また、その際環境課への報告義務はありませんが、任意で報告があった場合、環境課も適切な処理への指導に参入します。
Q:3
建物の床下にある土壌に含有するホウ酸濃度が上がり、そのまま放置することに問題はありますか?
A:土壌汚染防止法としては、その段階では問題はありません。高濃度のホウ酸がサンプリングで検出されたという報告があれば、調査対象地域に登録されます。
また、水質汚染防止法に抵触するようであれば問題があります。地下水水脈にホウ酸が到達し、井戸水にホウ酸が混入するようであれば問題です。
しかし、建築物の木部処理という用途では、雨のかからない建家の中ですので、その限りではありません。
Q:4
1リットル中に1mg以下という基準値は、先進諸外国ニュージーランドと比較するとの2000倍の厳しさに当たります。
何故、日本ではこのような厳しい値が設定されているのですか?
A 環境省が土壌汚染対策法や川や湖への排出基準を設けている理由は、工場から常時大量に排出する物質を対象としているためです。
ホウ酸は、温泉にも大量に含まれ、農業でも肥料として年間3000t程度土中にまかれているものではありますが、 化学工場では、それらと比較にならない程のホウ酸を使用することがあります。
例えば、アルミ電解コンデンサーの工場では洗浄などに使用したホウ酸が、高濃度の廃液として排出されます。
通常は、ほう素等回収装置を設置し回収しますが、排出基準が設けられていない場合、工場はコストのかからない方法として、そのまま河川に流してしまいます。
これが環境省の排出基準が必要な事例です。
日本で輸入されるホウ酸原料は、目薬などの医薬品、農業、建築用木材保存剤などにも使用されますが、主には工業製品としての用途が多く、建築用は全体の1%程度にとどまります。
環境省の基準は、主に消費される工業用としての用途に対し設定されていながら、目的の範囲が明記されていないため、 矛盾や混乱が出ているようです。
木材保存剤としてのホウ酸の使用は、管理された個人の敷地内であり、木材保存剤として使用しているものです。また、仕様書上に雨に当たらない場所とされているため、環境省が定める基準項目の本来の目的とは、全く抵触しないものです。
ホウ酸の致死量について
エコボロンにはホウ酸濃度で18%、ホウ酸塩濃度で15%のホウ酸が含まれています。
ホウ酸は自然界のどこにでもある鉱物で、土や野菜にも含まれているものです。
しかしながら、人の体は単一のものを常に撮り続けると過剰摂取になり、やがては致死量という話になってきます。
食塩にも致死量があり、体重60Kgの人で約200gがそれに当たりますが、ホウ酸の致死量は食塩と同等とされています。
エコボロンは、主に壁の中や床下などの構造材に噴霧するもので、大半は木材の内部にしみ込みます。また、ホウ酸は鉱物ですので、施工後空気中に揮発したり漂うことはありませんので、使用したエコボロンが住民の体内に入ることはありません。
アルミサッシに使用されるアルミニウムはアルツハイマーの原因物質として知られるようになりました。汚染された河川からの魚介類に蓄積するアルミニウムや、アルミニウムを使用した鍋などから溶出すものは、微量であっても健康被害を与える物質として注意が必要です。
しかしながら、アルミサッシに使われているアルミニウムを、これらの事例に混同させ、アルミサッシを危険物質として評価するのは論点が違います。
世の中にはこのようなすり替えの話が多いので、見極めるための最低限の知識が必要です。
また、エコボロンには施工者の誤飲防止を目的として、化粧品に使用されるの苦味成分が少量含まれています。間違っても飲むこともありません。
以上のことから、ホウ酸の致死量の話とエコボロンの安全性とは無関係なものといえます。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その10.神社仏閣を守るには
全国の神社仏閣が深刻な食害昆虫の被害にさらされています
日本には神社が約8万1千社、お寺が7万7千寺くらいあるといわれています。有史以前からの神道祭祀に基づく神社と、6世紀半ばに朝鮮の百済から入ってきた仏教に基づく寺院。
それらはいずれもその時代における木造建築の精華であり、その場所に静かにたたずみ続けることによって、歴史の生き証人となってきました。
中でも飛鳥時代の建造物である奈良の法隆寺は創建1400年。日本最古にして世界最古の木造建築であるといわれています。
現存する最古の神社建築ともいわれる、京都・宇治の宇治上神社は、1060年ごろに創建されたことが、年輪測定によって確認されました。
世界に誇るべきこれらの宗教建造物は、日本人の精神性を育んできた信仰を形にしたものです。先祖が育んできたその偉大なる遺産を、子孫である私たちは未来永劫にわたって存続させるための努力をしていきたいものです。
ところが現在、これらの神社仏閣が、深刻な劣化の危機に陥っています。社寺建築を専門とする建築会社の話によると、神社仏閣から依頼される改修工事のほとんどが、木材腐朽菌やシロアリを始めとする害虫の被害によるものだそうです。
実際、どこの神社仏閣を訪ねても、多かれ少なかれその建物には虫食いの形跡がありますが、これを補修するのは容易ではないようです。
今どこの神社も、簡単に建て替えや修復のできる経済状態にありません。
資金難で改修工事などとてもできる状態ではなく、さびれて廃墟のようになったところも少なくありません。
そこにきて、温暖化の影響も反映し、これまで温かい地方でのみ繁殖してきた昆虫類が、北上を始めています。アメリカカンザイシロアリ、キクイムシ、ヒラタキクイムシ、クロタマムシなど、羽があって食害を起こす昆虫にとって、人気の少ない神社仏閣は絶好の繁殖場所となり、どこからともなく屋根裏や柱の上部に忍び込んでは、木部を食い荒らしているのです。
世界遺産の建物でも、参道の柱にたくさん穴が開いているのを見かけることがあります。従来の合成殺虫剤による薬剤処理をされていますが、食害が起きるたびに従来の薬剤処理を行なっても、被害はなかなか食い止められません。そしてその薬剤の効果も5年間しかもたないのです。
このように、全国いたるところで生育する、複数の害虫たちと神社仏閣との間で、いたちごっこが繰り広げられています。
愛知県犬山市にある犬山寂光院は、国の指定する登録有形文化財や、市指定の文化財です。
数年にわたってお寺全体にケブカキクイムシと思われる被害が拡大し、建造物のいたるところに虫の穿孔した穴が、無残にも広がっていました。シロアリの被害なら地表近くに現れてきますが、羽のあるキクイムシの被害とあって、床下はもちろん屋根裏や、登録有形文化財である薬医門を含め、木部のいたるところで被害が広がっていたのです。
これまでにシロアリ駆除剤や燻蒸処理などを行なってきたものの、どれも効果が一時的でくいとめるには至りません。
そこで、最後の頼みの綱としてホウ酸に期待がよせられたのです。まずは特に被害の激しい薬医門という楼門を施工することになりました。
本来、ホウ酸は予防に重きをおいた防腐防蟻材です。しかしながら、古木である文化財は驚くほど吸収率が高く、吸い込まれるように入っていきました。虫が残した穴からは、念入りに流し込み、再発防止に全力で努めたのです。
浸透したホウ酸は、今も将来も静かに文化財を守り続けます。
犬山寂光院は、この施工の結果、キクイムシの被害が止まりました。それを確認した住職さんが、今度はその2年後に本堂・随求堂の施工を依頼してこられたといいます。ホウ酸が、重要文化財を含む、神社仏閣の劣化救済に、大きな力を発揮できることがわかったのです。
この事実を、尊い神社仏閣を維持管理されている、寺社や自治体、維持管理団体の方々にも知っていただきたいと思います。
そういった長期的展望への対応と決断が、神社の神主さんや寺院の住職さん、そして管理を任されている機関に求められているのです。
日本の貴重な精神文化を守り伝えていかなければならない神社仏閣こそ、一度の施工で長期的な効果が期待できるホウ酸処理を導入することにより、長期的展望に立った劣化対策、害虫対策に取り組む時期に来ているのではないでしょうか。
神社全体、寺院全体にホウ酸処理を行なっておけば、今後の改修補修面で、大幅なコストダウンが可能になります。コストの削減は、より有効な文化財の維持継続を実現するための要素です。
未来へのビジョンを持った神主さん、住職さんには、是非伝統継承を考えていただきたいと思います。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その9.学校建築の課題
衣食住の三要素にある、「住」は健康に適した住環境のことをいいます。
近年、住宅建材に使用される化学物質や、家電製品からの電磁波など、健康を害するマイナス要因は、少しずつ知られるところとなりました。
それらに関連する商品を製造する企業は、国が規制する法律に準じて開発を行っていますが、法の規制が不十分な場合、製造者や関連各社が自ら情報を入手して、安全な住環境の構築を行なう必要があります。
住環境といえば一般住宅を示すだけでなく、オフィスや公共建築物など人が一定期間滞在する場所についても同様です。
そして、滞在時間の長い学校校舎などについては真剣に検討する必要があります。
文部科学省はこれから学校建築について、国内産の木材を使った木造校舎を建築していくとの方針を打ち出しています。子供達が学び育っていく環境として木造校舎は理想的ですから、そのこと自体はとてもよいことです。
以下は、その検討内容の一部です。
学校施設は、児童生徒数の急増などに対応するため、戦後量的整備が進められましたが、建物の不燃化の観点などから、木造での建設はほとんど行なわれなくなりました。
しかし、昭和60年代から学校施設の質的充実が図られるようになると、木造を含む学校施設への木材の利用が見直されるようになりました。
近年、林業の再生や森林の適正な整備の面から、また、環境を考慮したエコスクール化や地球温暖化防止に貢献するとの観点などから、木材の利用を一層促進することが求められています。
地域の木材を使い、地域で生産・加工し、地域の大工の手によるという地域一体の学校施設づくりの取組が行なわれ、また、その過程を地域学習や環境教育の題材として活かす活動も見られます。
文部科学省では、学校設置者が学校施設への木材利用に取り組めるよう、木材を活用した学校施設づくりに関する事例集の作成や講習会等を実施してきました。
平成22年10月には、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、学校等の公共建築物において木材の活用が求められています。
後略
平成25年3月
木造校舎の構造設計標準の在り方に関する検討会より
衰退していた国内の林業再生と、地元の大工さんたちの雇用促進も配慮された話で、木造建築の普及がますます広がるうれしいニュースではありますが、注意も必要です。
学校建築も木造である以上、劣化・シロアリ対策が必須になってくることはいうまでもありません。今回の連載では、木造建築物の防腐・防蟻処理剤について、課題と対策を繰り返し述べてまいりました。
シロアリ防除剤として使われる殺虫剤の詳細は一般人に知れ渡ることはなく、建築業者、工務店、シロアリ防除業者からの明確な説明のないまま、建物の床下には、5年毎の定期的な薬剤処理が施され木造建築物が守られています。
現在日本でシロアリ防除剤に使われているのは、「ネオニコチノイド系」および「合成ピレスロイド系」という殺虫剤で、一般の農業でも農薬として使用されているものです。
これらの薬剤には神経毒としての働きがあり、神経伝達物質であるアセチルコリンの正常な働きを阻害し、昆虫の神経を興奮状態にさせることで死に至らしめます。
ネオニコチノイドの使用量は世界的に広がりましたが、欧米でミツバチが謎の大量死や大量失踪に陥る「蜂群崩壊症候群」が報告されるようになり、EUの主要国では2013年12月1日から2年間、ネオニコチノイド系薬剤3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用を禁止するに至っています。
一方シロアリ被害の多い、先進諸外国では、古くからホウ酸を使用してきました。
ホウ酸は1940年代にニュージーランドで本格的な使用が開始され、現在では全米で80%以上、ハワイ州では約100%のシェアにまで広がっています。
特にハワイ州においては、構造材の全てに防腐・防蟻処理が義務付けられており、そのすべてにホウ酸処理が採用されています。
日本の学校校舎においても、ホウ酸で校舎の全棟処理を行った場合、
•子供達の学びの環境において化学物質による空気汚染がない。
•5年ごとの木部へのシロアリ再施工が不要となり、予算が大幅に削減できる。
•ホウ酸の難燃効果により、燃えにくい木造校舎になり安全性が高くなる。
•木造建築でありながら耐震性の維持が長期に見込める。
•校舎自体の修復や建て替え時期を大幅に伸ばすことで、予算が大幅に削減できる。
などが見込まれます。
学校建築の関係者には、これらの情報をお知りいただきたいものです。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その8.電磁波の影響
住宅建材に使用される化学物質や、家電製品からの電磁波など、健康を害するマイナス要因は、少しずつ知られるところとなりました。
それらに関連する商品を製造する企業は、国が規制する法律に準じて開発を行っていますが、法の規制が不十分な場合、消費者自身が情報を入手して自らを守る必要があります。
様々なアレルギー疾患が増加の一途を辿る中、平成15年に、住宅の化学物質を制限する法令が施行され、多くの建材メーカーは安全な材料の提供に努めてまいりました。
しかし、その後もアレルギー疾患の数が減らないことに、電磁波の問題を指摘する声が出ています。電気使用量の増加に対し、アレルギー疾患の増加推移が、ほぼ比例の状態であることも注目すべき事実です。
私たちの身の回りにあるさまざまな家電製品からは、例外なく何らかの電磁波が出ています。もちろんこの電磁波も、例えばICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)といった国際機関から出されている電磁波ばく露ガイドラインが公表されていますが、国際的な法的規制ではなく、各国に施行責任などはゆだねられています。電磁波の人体への影響は、たとえ弱いものであっても、それを長期的に浴びるとどうなるかとなると、まだまだ研究途上なのです。
2007年にWHO(世界保健機構)は、電磁波の有害性を認め、海外では国毎に電磁波に対するガイドラインが設けられるようになりました。
最も厳しい設定はスウェーデン政府によるもので、交流電場を25V/m以下、交流磁場を2.5mG(ミリガウス)以下という位置付けがあります。
ノーベル医学賞などの選定を行うスウェーデンの研究施設、カロリンスカ研究所は、「高圧線の近くに住む子どもたちに、3.8倍も白血病が増えている」というレポートを発表し、世界に衝撃を与えました。
電磁生体学の世界的権威ロバート・ベッカー博士は、電磁波の安全基準は1mGにすべきであると主張されているそうです。
渡り鳥が正確に海を渡ることができるのは、脳の中に磁性体があるためといわれていますが、人間の脳にも微小な磁性体が存在しています。
東洋医学で知られる針治療の基本理論は、人間の生体を流れる微弱な電気的エネルギーが前提となっており、人体にはシナプス電位と活動電位という2つの微弱な電位が存在しているといわれています。
私達の身の回りには様々な電化製品から電磁波が発生していますが、電気は電位が高いところから低いところへ流れる性質があり、電位の低い人体は帯電しやすくなります。
帯電すると皮膚表面は電気で覆われ、かゆみやしびれなどの違和感をはじめとして、様々な障害を生み出すことが懸念されています。
電磁波とうまく付き合うには
生活を豊かにしてくれる電化製品は、正しい知識と共に活用の範囲を広げていきたいものです。
電磁波には「電場」と「磁場」の2つの性質を持つ波がありますが、電気の影響が及ぶ範囲を「電場」といい、磁気の影響がおよぶ範囲を「磁場」といいます。
両方、もしくはどちらか一方からの影響があり、その対策には、それぞれの性質を把握しておく必要があります。
物理的な対処法には、「発生源から離れる」「使用時以外はコンセントを抜く」「アースを取る」などがあります。発生源から離れると、電場と磁場の影響を飛躍的に軽減する事ができ、逆に電気毛布や電気カーペットなど、密着して使用するものほど、身体への影響も大きくなります。
ホットカーペットにおいては、1000V/mの電場と300mGの磁場を発生している物もあり、注意が必要です。
コンセントがさされている電化製品は、未使用時であっても電場が出ている事がありますが、機器からアースを取れば使用時であっても電場を抑えることができます。
アース処理は冷蔵庫や電子レンジなど、アース配線の付いた機器に限ったものではありません。電化製品本体の金属部分にアース配線を取り付け、コンセントのアースに接続すれば、多くの電化製品について電場処理が可能となります。
床や壁の中を通る、電気配線から発生する電磁波に対しては、伝導性のシートを使ったアース施工が可能です。電磁波過敏の方や、長時間滞在する寝室などに有効です。
また、電磁波の影響は電磁波を発生させる機器のみならず、人体に取り込まれた金属を返して拡大する可能性もあります。例えば、歯科治療で歯に充填された金属が、空間の電磁波を吸収し、口腔内に微弱な電流を流すとされています。
電磁波やアレルギーへの対策は、総合的な知識と配慮が必要です。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
7.抗酸化力を住環境に活かす
生い茂る森林に栄養素を供給する山林の土には、長年かけて蓄積した微生物の代謝物質「酵素」が蓄えられています。その酵素をたっぷりと吸収した樹木には、抗酸化効果をもつ樹液が詰まっており、樹齢が長いほど建造物の寿命も長くなるといわれています。
日本最古の寺院といわれる奈良県の法隆寺は、1400年以上の歴史を通して、樹木の持つ抗酸化力を証明してきました。
自然界には微生物がいたるところで関与し、微生物が代謝して作りだす酵素には様々な活用があります。
農業では農薬や化学肥料に頼らない、微生物の力を活かした土作りが見直されていますが、このような環境で育てられた農作物は、土壌から吸収された酵素を多く含んでいるため、腐敗しにくく新鮮さを保ちやすいのが特徴です。
『奇跡のりんご』で有名になった木村さんのりんごは、常温でも数ヶ月間新鮮さを保つことで知られていますが、良質な土作りからなる有機農業では、このような抗酸化力をもつ食材の生産が可能となっています。
日本は島国で四季があり、良質な微生物の生育環境が整っているため、海外には少ない日本特有の長所をつくりだしているのです。
日本の気候風土にある長所は、食文化でも発展をもたらしてきました。
納豆、味噌、醤油などの発酵食品でも微生物が持つ酵素の力が活躍しています。
時間をかけて発酵させた食品には豊富な酵素が含まれ、添加物に頼ることなく長期に保存することができています。
良質な微生物の代謝物「酵素」は、すぐれた抗酸化力をもっていると考えられるのです。
私たち人間の生命活動にも、酵素には欠かす事のできない役割があります。
物が腐ることを酸化といいますが、人間が老化することも、酸化と表現する場合があります。美肌にいつしかシミやシワができることが、「肌の老化」「肌の酸化」と表現されるのを耳にされたこともあるでしょう。
また、病気になる時は体が酸化した状態であるとも言われます。よって、酸化を防ぐ環境、つまり酸化の反対にあたる「還元」や「抗酸化」の働きが、病気をはね返す力になるとして注目されているのです。ヨーグルトや酵素配合の健康食品が若返りの味方になるとして、市場を賑わせているのはそのためです。
酵素には腸内微生物の生育環境を整え、整腸作用を促し、体の老化を防止する抗酸化力の働きもありますが、最近になって、この酵素を住宅づくりに応用した健康住宅が広がりつつあります。
建材にある種の酵素を混ぜておくと、建てられた住宅が抗酸化力を持った空間になるというものです。「抗酸化住宅」と表現する工務店も増えてきましたが、これはその酵素の力を応用した健康住宅のことです。
酵素は触媒として働くため、たとえ微量でも効果があらわれます。
農業でも土作りに使われる酵素は、何千倍の希釈でもその効果をもたらしますが、住宅でも農業と同様の技術で、抗酸化力を持つ環境づくりが可能です。
抗酸化力のある住環境は、人が感じる「居心地のよさ」によって、ある程度区別することができますが、主観も入り判断には個人差を伴います。
「抗酸化環境」は、生き物が過ごしやすく元気になり、居心地がよいと感じる場所をいい、疲れがとれる、よく眠れると感じることもあります。
その反対に「酸化環境」は、なんとなく居心地が悪く、物は腐敗しやすくて、空気はジメジメして重たい感じのするところです。
「抗酸化環境」をつくるには、建材に抗酸化力を持つ素材を幅広く活用し、住環境全体に抗酸化力を持たせることが大切です。
たとえば基礎のコンクリートや壁に塗る下地剤のシーラー、漆喰や塗り壁の材料など、あらゆるところに少量の酵素を混ぜておくことで、家自体を、物が酸化しにくい抗酸化場にすることができるのです。
リフォームの際は壁の塗料、壁紙を貼るノリなどにも混ぜる事が出来ます。抗酸化資材を混ぜた塗料をつくり、食品貯蔵庫の壁面、水道管や電気配線、ガス管に至るまで、建物の細部にまで使用することで、広範囲に抗酸化力が得らます。
酵素には化学物質を分解する力もあります。良質な土作りをする農業では、散布した農薬が分解され、収穫物からは検出されないことがあります。石川県の名産「フグの珍味」は、発酵によってテトロドトキシンという毒素が消えることで知られています。同様にして、建材や壁紙などから出る化学物質を分解し軽減させるのにも、酵素を活用した素材が使われることもあります。
今後は、住環境に抗酸化力を加えた健康住宅が広がっていくことでしょう。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その6「イヤシロチ」と「ケガレチ」
心と体の疲れを癒してくれる住環境。1日の多くの時間を過ごす住環境を整える事で、健康、人間関係、社会づくりへと良い影響が連鎖していきます。
住みよい住環境を考える上で、その土台となる土地のエネルギーは大切です。
古来、人は直感的にエネルギーの高い安定した土地を選び、神社・仏閣をそこに設けるなど、土地の持つ力を重要視してきました。
しかし乱開発が進み、人が住むに相応しくない土地や、高圧線などによる電磁波の影響が増え、また、地中に存在する鉱物や、地下水脈から発せられる異常磁場などによって、地磁気が不安定になっている場所もあります。
土地には、人や動植物の生命力を高める「イヤシロチ」や、土地のエネルギーを失った、住居や耕作地には適さない「ケガレチ」があるといわれています。
昭和初期に活躍した物理学者・楢崎皐月(ならさきこうげつ)氏が提唱したこの概念は、全国の土地約1万2千箇所の実測調査に基づいています。地表面の電気分布を調べ、その特徴とそこに生育する植物や生き物の生育状態を照らし合わせることで、その関連性を解明していったと伝えられています。
イヤシロチをつくるには
土地が「イヤシロチ」なのか、「ケガレチ」なのかを知るには、山並みの配置や、森林、街路樹から生け花などの生育状況、コンクリート・アスファルト・鉄などの劣化速度を観察することからもわかります。植物も土地の影響を受けるので、部分的に育ちが悪い場合は、磁場異常が考えられるのです。
地電流の測定も有効です。直径15センチメートル深さ30センチメートル程の穴を掘って、穴の入り口と底にテスターをあてて計測するものです。電流が上から下に向うと、電子は下から上に向かいます。逆に電流が下から上に向うと、電子は上から下に向う。これは物理の初歩です。
つまり、電流が上から下に向かって流れている土地は、大地から電子が上がってくる構造になっていますから、その土地は電子を供給してくれる土地、すなわちマイナスイオンが豊富で、還元状態が保たれる土地だということがいえます。
また、土地の地磁気を測定し、そのバラツキから土地のウィークポイントである「ツボ」を見つける方法もあります。
ガウスメーターという機械で、土地の磁力を1メートルごとに計測します。
地球は大きな磁石になっていますから、方位磁石が北を向くように、どこの場所にも微弱な磁力が存在しています。磁力に乱れがあると、その計測に不安定さがみられますので、今度はそこに、磁力を安定させるための策をとればいいのです。
特別な処理を施した炭を埋設すると、その炭素がマイナスイオンを集積して放射する働きをしてくれますので、地電流が大地の下に向かって流れ、逆にマイナスイオンは地表面に向かって流れるようになり、その土地のエネルギーが良い方向に安定化してくるというものです。
イヤシロチ化で成功した方の例
この原理を応用し、仕事場をイヤシロチにして大成功を収めた方もいます。
米国ウイスコンシン州立大学で酪農などを学ばれ、北海道で新得農場を経営されている宮嶋望さんの話です。
宮嶋さんは、牛乳の生産では農場の経営が成り立たないということで、付加価値の高いチーズづくりを目指されました。
そこで行なったのが、チーズを熟成させる庫づくりの工夫です。
チーズづくりにとって大敵の一つには、住宅で言うところの結露です。チーズの表面が結露するとカビが生えてしまい、すべてが台無しになってしまいます。
ところがチーズを熟成させるには適度な湿度が必要です。湿度は必要だけれども、結露してはいけない。この矛盾を解決するのに宮嶋さんは、チーズの熟成庫をイヤシロチ化することを思いつきました。地電流を整え、マイナスイオンに包まれた庫をつくったのです。
その結果、新得農場のチーズは世界チーズコンテストで優勝を果たし、第34回食品産業優良企業等表彰のマイスター部門で農林水産大臣賞に選ばれるに至りました。
イヤシロチ化することで、チーズ庫の結露が防げるということは、住宅の結露を防ぐことにも繋がります。住宅劣化の原因には結露がありますから、足元の地電流を整えることで結露が軽減する家になるとしたら、これもまた長寿命住宅づくりの手法といえます。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その5.予防医学と住環境
生活の基盤となる「住空間」は衣食住の3要素にもある健康のかなめです。しかし、日本の建築業界では、住空間と健康について認識は薄く、健康住宅の定義は定まっていません。
一般のハウスメーカーや工務店では、建築法に準ずる新しい工法、耐震構造、高気密高断熱などの新しい技術を追求しながらも、人がどのように健康になるのか、住環境がどのように人の健康に影響を与えるのかなどを前提とした、「健康住宅の定義」を持つことはありません。健康住宅の勉強会では、「高気密高断熱」の建築技術に注目があつまり、健康住宅としての根拠に欠けた不十分な状態が続いています。
そもそも病気の原因が何であるか。生理学的にどのような要因から成人病、難病が増えてきたのかを知らずして、健康住宅を建てることはできません。
現代医学では、生活習慣病の約90%が体内に過剰に発生する「活性酸素」によるものである。としています。
住環境において、活性酸素を増やす要因があるのなら、最大限それらを減らす努力をし、逆に活性酸素を減らす要因を入れ込むことができるのなら、工夫を凝らしてみる。この延長に、本当の健康住宅が見えてくるのではないかと考えます。
活性酸素は、体に取り入れられた酸素のうち、電子を失って不安定な状態になっているものです。
本来活性酸素には、体内に入ったウイルスや細菌から体を守ってくれる、善の働きがあるのですが、過剰に増えた活性酸素は、自ら体の細胞を傷つけて様々な病気の原因をつくってしまう悪の働きをもっているのです。
活性酸素発生量のバランスが健康を左右するところではありますが、現代生活には過剰に発生させる要因が増えてきました。乱れた生活習慣、不規則な食生活、食品添加物や農薬、心身へのストレスなどがありますが、生活環境においては、室内に漂う化学物質、電磁波、そしてシロアリ予防剤の農薬などがあります。
住宅づくりに、健康要素を加える場合、これらの問題を飛び越えて進むことはできないのです。
また、フロリダ州にあるメイヨクリニックの研究室が発表した研究結果によると、慢性の副鼻腔炎(蓄膿症)は、住環境でもよく浮遊している菌類(カビなど)が原因であるとされています。アメリカの人口の約20%がアレルギー疾患をもっており、その中でも「喘息患者」を一番苦しめるのは空気中のカビであるとのことです。
室内はもとより壁の中においても、カビの発生を抑えたいものです。
「活性酸素」の発生を抑えるには
住環境によって、活性酸素を増やす要因をなくすには、下記のような注意が必要です。
〇 化学物質の揮発する住宅建材をできるだけ使用しない
〇 少量でも発生してしまう化学物質を分解、消去する技術を導入する
〇 住空間からの電磁波の影響を軽減する
〇 農薬由来のシロアリ予防材を使用しない
〇 その他、ストレスの少ない住環境を考える
そして、活性酸素を減らしていく要因や、酸化や老化を抑えていく要因を住環境にもたらすものには下記の方法があります。
〇 炭素埋設法により土地の「地電流」を整え、土地自体をマイナスイオンの豊富な還元状態にする
〇 建材を吟味し、マイナスイオンの豊富な住空間をつくる
〇 空間に抗酸化作用をもたらせ、物が腐敗しにくい環境をつくる
〇 体内に電子の供給ができ、生体が喜ぶ活水器を取り付ける
住環境で活性酸素を減らす要因には、空間に漂う「電子」の存在が挙げられています。電子とはマイナスイオンのことです。活性酸素は電子を失って不安定になった酸素であり、電子を加えることで再び安定した酸素に戻るためです。
空間に電子が満たされていないと、体内の電子が奪われ、そのことによる活性酸素の発生が考えられるからです。
室内や壁の中に発生するカビについても注意が必要です。
カビの種類によっては、胞子がアレルギーの原因となる場合もあります。同時に、カビをエサとするダニが発生すれば、このダニもアレルゲンとなります。カビとダニの発生は、アレルギー疾患の家族を持つ家庭にとっては、健康上の大きな脅威です。
大切な家族を守るためにも、カビ対策をしっかりと行なっておきたいものです。
次月からは、炭素埋設、抗酸化工法、電磁波対策など具体的なノウハウへの掘り下げをさせていただきます。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その4.日本の建築業界に救世主「ホウ酸」
生活の基盤となる「住空間」は衣食住の3要素にもある健康のかなめです。しかし、日本の建築業界では、住空間と健康について認識は薄く、健康住宅の定義は定まっていません。
日本は先進諸外国にくらべ、壁紙や建材から揮発するVOCなどの化学物質、室内環境での電磁波について、法規制が遅れてきました。
そして木造住宅にはシロアリ予防処理として、「ネオニコチノイド系」および「合成ピレスロイド系」の農薬系殺虫剤が標準的に使用されています。
シロアリの活動が多い先進諸外国に、米・欧州・ニュージーランドなどがありますが、これらの国では、新築に農薬系の殺虫剤を使用することを禁止し、主に天然鉱物の「ホウ酸」を使用しています。
ゴキブリのホウ酸団子と知られるホウ酸は、腎臓の無い昆虫類が体内に取り入れることで、代謝機能を低下させ、死に至らしめる働きを持ちますが、野菜の肥料や目薬の抗菌剤として一般流通しているもので、人や動物に対しては安全な天然鉱物だからです。
木造住宅の防腐・防蟻処理剤として本格的にホウ酸の使用をはじめたのは、ニュージーランドです。
第二次世界大戦後の住宅建築ブームによって木材が不足した折、防腐やシロアリには強くない、紙パルプの原料として植林されていたラジアータパインという木材が、住宅の構造材として使われるようになっていました。
その頃、大繁殖したシバンムシという害虫対策として、国家が注目したのがホウ酸処理だったのです。1950年代初期のことです。
そして約40年後の調査で、適切な使用条件が守られたホウ酸処理パイン材による木造住宅に、害虫被害のないことが国際会議で報告され、欧米ではホウ酸処理の活用が勢いよく広がってきました。
アメリカでは、20世紀半ばに開発されたクロルデンという土壌処理剤が、シロアリ対策の主流となっていましたがが、やがて深刻な土壌汚染や水質汚染を引き起こし、1988年には、連邦政府が全面使用禁止を決定します。
一方ハワイでは、19世紀後半、欧米列強によって持ち込まれたシロアリが、高温多湿の好条件の中で大繁殖し、第二次世界大戦後、木造住宅のシェアは40%にまで落ち込みました。
1985年には、木造住宅の骨格となるすべての構造部材への防蟻処理が義務づけられますが、当初はCCAと呼ばれるヒ素系の農薬が主流で、発がん性のある六価クロムやヒ素を含み、すぐに全面禁止となって、ニュージーランドで活躍するホウ酸処理に注目が集まったのです。
それが爆発的にニーズを拡大し、わずか2年で90%のシェアを獲得するに至ります。その理由は、ヒトや環境への負荷が少ないこともありますが、処理を行なった住宅へのシロアリの食害発生率が明らかに低かったことによります。ホウ酸は鉱物で、揮発・分解することがないため、新築時に一度施工するだけで、農薬系薬剤のように再施工する必要がないためです。現在では、ハワイの新築住宅のほとんどが、全構造材にホウ酸処理を採用するようになっています。
米本土でも1990年代半ばから、カリフォルニア、フロリダ、アリゾナ、テキサスなどの西部では、ほとんどの主要構造材にホウ酸処理が選択されるようになりました。
ホウ酸には、シロアリ予防という働き以外にも、
〇 木を食べる全ての食害虫への予防
〇 抗菌効果による、木材の腐敗防止
〇 室内や壁の中に繁殖するカビの抑制
〇 難燃効果による防火対策
などがあり、その効果が一度の施工で長期に持続するため、殺虫剤のように5年毎の再施工が不要です。したがって新築時にホウ酸をフル活用することで、
● 5年毎のシロアリ再施工が不要となる
● シロアリ以外の食害中からも住宅が守れる
● 根拠の言える100年住宅になる
● 耐震性の落ちにくい木造住宅になる
● 燃えにくい木造住宅になる
● 室内の防カビ・防火対策としても使える
という、今までの木造住宅には考えられなかった、新しい付加価値を生むことになります。
日本でのホウ酸の導入はこれからです。様々な利権や偏見の障害を乗り越えなければなりません。まず、自らに自宅を新築もしくはリフォームする機会が訪れたら、強くホウ酸をリクエストすることから始めましょう。そして、周りの人にこの情報を伝えてあげるのも親切です。そして、その繰り返しが日本の社会を変えていくことになるのです。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その3.日本と先進諸外国にある妙な格差
衣食住の3要素にある「住」は、健康生活の基本です。しかし、住空間と健康について認識は薄く、健康住宅の定義は定まっていません。
日本は先進諸外国にくらべ、壁紙や建材から揮発するVOCなどの化学物質、室内環境での電磁波について、法規制が遅れてきました。
そしてシロアリ予防処理として、「ネオニコチノイド系」および「合成ピレスロイド系」の農薬系殺虫剤が、殆どの木造住宅に標準的に使用されています。
シロアリの活動が多い先進諸外国に、米・欧州・NZなどがありますが、これらの国では、新築に農薬系の殺虫剤を使用することを禁止し、主に天然鉱物の「ホウ酸」を使用しています。
ゴキブリのホウ酸団子と知られるホウ酸は、腎臓の無い昆虫類が体内に取り入れることで、代謝機能を低下させ、死に至らしめる働きを持ちますが、野菜の肥料や目薬の抗菌剤として一般流通しているもので、人や動物に対しては安全な天然鉱物だからです。
※ホウ酸についての詳細は、次月号で取り上げさせていただきます。
日本の建築現場で、シロアリ処理をする作業員は、ガスマスクやメガネ、防水加工の作業服を身にまとい、完全防備で殺虫剤の散布を行います。
また大工は現場から非難し、作業は人気のないことを確認して行われます。
しかし僅か2~3か月後には、子供たちやお年寄り共々、マイホームを手にした家族が新しい生活をはじめるのです。
日本は殺虫剤大国であり、化学薬品の力も借りて、経済の成長がありました。
農薬は一方的に悪いものではなく、農業での生産性向上、招かざる昆虫やウイルスへの対処など、欠かせない場面もあったに違いありません。
しかし、無傷の新築住宅へ大量に散布する用途は如何なものでしょう。先進諸外国に認められる安全な薬剤が、何故日本で広がらないのか。次の理由が関与していと考えられます。
○ 新築の場合、建築会社はシロアリ防除処理を、専門のシロアリ業者に委託している。業務は分断され、積極的な情報の共有もない。建築業者は使用する薬剤の詳細を知らない。耳を閉じている。
○ 建築業者が施主に対し、シロアリ施工の詳しい説明をすることはない。詳細に至るほど、殺虫剤の真意にも触れることになる。
○ ホウ酸は鉱物で、揮発・分解が無いため、再施工が不要となる。
主流の殺虫剤は5年で効果が切れ、シロアリ業界は5年ごとの再施工で商いが成り立っている為、ホウ酸を取り入れると将来の仕事が減る。
○ 建築会社とシロアリ会社には長年の繋がりがある。
シロアリ会社は、新築施工を超低価格で引き受けることで、5年ごとに続く再施工の権利を獲得している。広告や飛び込み営業より、確実に見込み客が獲得できる。
建築会社も、新築のイニシャルコストが軽減するので、低価格を提示するシロアリ業者を歓迎し採用する。
○ 各種協会には、古くから係る企業との利権があり、新しい展開を起こしにくい環境がある。
○ 日本は、正しいことに目を向け、声を上げ、新しい試みを取り入れることの少ない国である。タブーな領域に目を閉じ続けることが、企業や組織の中で安泰に過ごすことができると、多くの人が思っている。
○ 消費者にも、国の規制がなければ安心であると楽観的に考える人が多い。
日本には、住環境に限らず、この様な同様の理由を背景として、様々な課題が存在しています。
油に水素を添加してつくられるマーガリンは、米国では法的に販売許可の降りないものです。韓国の学校給食でもマーガリンの使用は禁止されています。しかるに日本では、スーパーの売り出し棚に積まれています。
日本で販売される有機野菜の殆どは、有機野菜の本場ヨーロッパでは認められません。種子から有機でないものは有機野菜とは認められないからです。ここに声を上げる人を目にすることは滅多にありません。
マイホームに使用されるシロアリ処理の薬剤について、目を背けていては、健康の三要素である「住環境」を手にすることはできません。
自らと家族の健康を守るためには、積極的に新しい知識を取り入れ、自己の責任で判断と選択をしていかなければならないのです。個人の判断が鍵になるということです。
環境社会新聞 投稿記事
連載: 「住環境」を考える
その2.住環境の盲点「殺虫剤」
1日の多くの時間を過ごす住環境は、衣食住の3要素としても挙げられる健康に大切な要素です。その住環境を保つ上で、室内の空気環境が良質であることは、基本中の基本といえます。
しかし、「住」への関心が希薄であることから、化学物質を放出する合板の家具類、カーテンや畳、じゅうたんなど、健康的な住空間を阻害する要因も少なくありません。
そして、木造住宅においては、高温多湿の日本に発生しやすいシロアリの処理剤があり、最大の盲点といっても過言ではないでしょう。
シロアリ防除剤として使われる殺虫剤の詳細は一般人に知れ渡ることはなく、建築業者、工務店、シロアリ防除業者からの明確な説明のないまま、多くの自宅の床下には、定期的な薬剤処理が施され木造建築物が守られているのは事実です。
かつてのシロアリ防除剤は、有機塩素系農薬、有機リン系農薬、ヒ素系といった、毒性の強い合成殺虫剤が主流で、施工後には灯油のような臭いが立ち込めるものでした。しかしさまざまな健康被害が報告されたことから、現在シロアリ防除剤に使われているのは、「ネオニコチノイド系」および「合成ピレスロイド系」という殺虫剤です。
ネオニコチノイドはその名の通り、たばこにも含まれるニコチンから造られたもので、一般の農業でも農薬として使用されているものです。
これらの薬剤には神経毒としての働きがあり、神経伝達物質であるアセチルコリンの正常な働きを阻害し、昆虫の神経を興奮状態にさせることで死に至らしめます。
ネオニコチノイドの使用量は世界的に広がり、ヨーロッパやアメリカでは、1990年代初めからミツバチが謎の大量死や大量失踪に陥る「蜂群崩壊症候群」が報告されるようになりました。現在では、北半球のハチの数が4分の3にまで減少し、ハチの神経が狂い異常行動に駆り立てられているのではないかと考えられています。
この報告を受け、フランスやドイツを始めとするEUの主要国では2000年以降から、ネオニコチノイド系農薬の使用を禁止、もしくは制限するようになりました。そして2013年12月1日から2年間、ネオニコチノイド系薬剤3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用を禁止するに至ったのです。
一方、日本が消費するネオニコチノイドの使用量は、過去10年間で3倍以上に膨れ上がり、アメリカの10倍、ヨーロッパの100倍と先進国では使用量の多さが一際目立ちます。
松枯れ病対策の用途からは、地域の住民から頭痛、吐き気、めまい、物忘れなどの自覚症状や、頻脈・徐脈等の心電図異常がみられる患者が急増しているとの医師からの報告があり、少しずつ市民団体による是正、撤廃の声が上がりはじめている程度です。
本論の木造住宅では、これらの殺虫剤がシロアリ防除材として、新築時から約95%程度の割合で使用されています。床下や家の外周といった、室内と空気が行き交う住空間の一部であり、5年毎の再施工もなされますが、時には数百リットルもの散布量があるため、家主のみならず化学物質に敏感な人には、近隣の住民にも十分な注意が必要です。
日本の住環境には、昨年末EU主要国で禁止にまで至った殺虫剤が、「標準」のように使用されているということになります。
環境社会新聞 投稿記事(連載1回目)
連載: 「住環境」を考える
その1.最も身近な環境とは
私たちの最も身近な環境には「住環境」があります。1日の多くの時間を過ごす住環境を整える事で、健康、人間関係へと良い影響が社会全体へ連鎖していきます。
「衣食住」は生活に必要な三要素であり、どの要件が欠けても健康生活は成り立たない事を表していますが、「住」についての関心は薄く、健康生活に適した住環境の定義はありません。
「住環境」への関心が希薄になっている理由には、住環境と健康を関係づける根拠を明確にしづらいことや、建材の輸入や開発に、国策や利権が深く関係し対応が取りにくいこと等があげられます。
化学物質を多用した建材が次々と開発され、自然素材の普及は滞る傾向にありました。同時に、アレルギーや化学物質過敏症などの病気を訴える人々が増えてきたのです。
住宅を建てる際に使用される、特定の化学物質を制限する法令は、平成15年7月にようやく施行されましたが、それは必ずしも十分なものではなく、規制前の建築物では、今も続く化学物質の揮発によって、多くの人々が健康被害を訴えています。
このような情勢を背景に、住まいと健康をテーマとした重要な検証も進んでまいりました。
「コンクリート住宅は9年早死にする」これは島根大学や静岡大学が、マウスを用いて研究を重ね辿り着いた内容で、コンクリートから発生する冷たい輻射熱によって、体温が奪われてしまうことが原因として上げられています。
また、川崎医科大学では、マイナスイオンが優位な環境において、免疫力の指標となるNK細胞が活性化するという論文が出されています。
NK細胞は、生まれながらに殺傷能力を備えているリンパ球の一つで、他の免疫細胞とは異なり、体の中を巡回して、癌細胞を攻撃する免疫細胞といわれています。
同時に、マイナスイオンの豊富な環境は、静電気の発生を抑え、ホコリやダニを原因としてアレルギーに悩む人々の、病状を軽減してくれるそうです。
住み心地の良い住環境には、その土地が持っているエネルギーも関係しています。
地磁気と生体の関係を掲載した「エネルギー医学の原理」という書籍には、「地磁気と外部からのエネルギーをすべて遮断した環境に住んだ場合、多くの人の健康が阻害された」という内容の報告があります。
一般のハウスメーカーや工務店では、建築法に準ずる新しい工法、耐震工法、高気密高断熱などの高い技術を追求しながらも、人がどのように健康になるのか、住環境がどのように人の健康に影響を与えるのかなどを前提とした「健康住宅の定義」を定めることはありません。
このコーナーでは、一般にはあまり知られていない、「健康に適した住環境」について連載してまいります。
2014年3月20日
セミナーのご案内
大阪で、下記のセミナーを行います。
お誘いあわせの上、ご参加お待ちも仕上げております。
タイトル 「ナチュラルビジネスセミナー」
日時 平成26年3月20日 木曜日
13:30~ 受付開始
13:45~15:00 「健康の決め手は住環境にあった」
株式会社アルラ 代表取締役 岩月 淳
15:00~15:10 休憩
15:10~16:40 「環境と身体を自然に戻す
フリーエネルギーの世界」
NPO法人・瀬戸内海環境会議 理事 谷川真司
定員 60名 参加費 無料
申込 メール又は、ファックスでお申込みください。
メール eigyou@daiousyoukai.jp
ファックス 06-6771-5972
会社名 氏名 ご連絡先電話番号 メールアドレス
をご記入ください。
2014年2月7日
「防蟻をしない」健康住宅の考え方について
全国の様々な工務店さんを訪問していると、
健康住宅を提唱する会社には、
「防蟻を一切しない」という会社に出会うことあります。
100件に1件程度か、それ以下の割合かとおもいます。
様々な工夫を凝らしながら、世間で主流の
「殺虫剤でのシロアリ対策をしない」という考え方です。
健康住宅を提唱しながら、何故か、殺虫剤での防蟻施工を
施している会社も少なくない中、
顧客のニーズに正面から対応する、素晴らしい企業の姿勢を感じます。
最近の住宅環境は、
●基礎がコンクリートで覆われたべた基礎である
●基礎に通風孔を設け、湿度の上昇を抑えながら
シロアリの発生を抑えている
●構造材に抗議性の高い、ヒバなどを使用してる
●抗議性のある基礎パッキンを使用する
などの工夫で、一時ほどの高い確率で
シロアリ被害を受けることが無くなっていることは事実です。
(ヤマトシロアリ・イエシロアリの土から侵入するものについて)
しかし、シロアリは賢く、シブトク、様々な工夫を凝らしながら
住居への侵入を試みます。
そのような健康住宅に、運悪く、シロアリの被害が起きることもあります。
昨年の夏は猛暑で、シロアリ被害が多かったと聞きます。
そもそも、健康住宅の購入を決意する施主さんは、
高いお金をだしても、健康住宅としての価値に
趣を置いている方々です。
100年住宅であり、健康住宅である。
そのような触れ込みで住宅を購入したにもかかわらず、
運悪く、購入後2年でシロアリ被害が発生し、
やむなく殺虫剤処理をする・・・
このような本末転倒な話は、実例として報告されていることです。
「設計ミスである」と訴訟になる可能性もあります。
日々、シロアリと格闘していいる業者は、
シロアリ防除業者であり、建築会社ではありません。
世間のシロアリ業者からすると、
防蟻施工をしていない住居に安全を保証することはできません。
このような、極端な選択が起きてしまう理由には
日本では、防蟻剤に殺虫剤が主流であったことがあるのでしょう。
どうしても、殺虫剤を使いたくないとなれば、
一か八かの施工することとなりますが、
木を食べる虫、「食害虫」は、
羽の生えた、キムイムシ、クロタマムシ、ヒラタキクイムシなどがあり、
アメリカカンザイシロアリの発生地域は、
年々広がりを続けています。
シロアリ予防剤に、エコボロンのような
天然のホウ酸を主成分としたものが
主流となっていくことでしょう。
また、そうなることを願っています。
2013年12月25日
大阪府岸和田にある、建築会社を訪問しました。
エコボロンに興味をもたれ、
株式会社アルラのHPをご覧頂いたとのことです。
この会社は、元々造園や庭のメンテナンスを請け負う会社ですが、
最近になって、新築やリフォームの引き合いが多く、
来年から本格的な活動を開始されるのだそうです。
社長さんとお会いさせていただき、
目の澄んだ真面目な経営をされている方と
ひと目で感じました。
今までの住宅業界の枠にとらわれず、
人々のために健康住宅を積極的に勉強し、
提供していこうという強い思いをお持ちの方です。
僭越ながら、この会社は間違いなく、
これからも繁栄し続けるだろうと確信しました。
消費者にとって「住宅という買い物」は、
そう頻繁に訪れる事ではありません。
価格が重要であることは、誰にとっても共通ですが、
聞きなれない工法の名前や、細かい法律なども多く、
プロの業者に任せるしかないという実情のなかで
高い買い物をすることになるのです。
建築だけでなく、どの分野においても、
「クチコミ」による啓蒙は最大の威力を発揮します。
ここでお会いした社長さんのように
正直に、お客様のことを考えて経営をされる会社には、
必ず、市民の理解と支援があり、
経済がどのように不安定になっても
必ず伸び続けるであろうと考えるのです。
エコボロンは、そのような真面目な住宅づくりを
志す方々に、一際ご興味をいただく商材でもあります。
エコボロンの特性は、単なるシロアリ予防に留まらず、
住宅の寿命を大幅に伸ばし、耐震性を維持し、
化学物質の軽減、将来ランニングコストの大幅な軽減に
寄与するものだからです。
日本の建築業界では、
エコボロンのマーケットに当たる会社は
意識の高い上位、5~10%程度の会社からスタートするでしょう。
そして、ホウ酸処理が日本で知られるようになるとともに、
次の10~30%程度の会社が採用するようになり、
その後、市場のシフトチェンジが起きてくると予想しています。
小生は、エコボロンの販売活動をしていますが、
販売先の規模を気にしながらの活動はありません。
例え、年間に1棟しか新築案件がなくても
良質な住宅づくりに強い思いを持った方であれば、
どこにでも出向いて、精一杯の説明をさせていただくことにしています。
そして、その会社が将来発展していくための、
親身なお手伝いを続けてまいる所存です。
2013年12月21日 チベットセミナー
千葉県成田市に本社、ショールームを構える
温熱治療器のメーカー、三井温熱株式会社での
一年を締めくくるセミナーで、チベット医学の話をさせていただきました。
今年の9月に、約15名の方々とともに、
青海省の西寧にある「アルラチベット医学センター」を
訪問した報告を兼ねて約1時間のプレゼンテーションでした。
チベット医学は、古くは4000年の歴史を持ち、
現在も続く、最古の医学の一つとして密かな注目を浴びるものです。
そのチベット医療では、1300年程前から続く、
温熱治療があり、日本で温熱治療器を普及する
三井温熱株式会社さん御一行のツアーを行ったのです。
現地で使用される機器類は、
日本で販売される最先端のものと比較し、
古典的なスタイルのものですが、
どのような治療でも、
施術者の思い、慈悲の誠心が大切であることは
いうまでもありません。
チベット医学とは、
「慈悲、慈愛の精神をモットーに世のため人のために尽くす」
医療であり、
その現場を直接視察することで、
多くの方々の、活動に大切な意識の柱となるものです。
三井温熱株式会社は、
単なる温熱治療器の販売活動をするだけでなく、
一般の方々が施術師として、それらの正しい活用方法を学び、
多くの方々を癒していく、そのような活動をメインにされています。
高い技術が必要なことはもちろんですが、
その機械を扱う人々の「心」も重要であることは言うまでもありません。
そのような理由から、
1300年間継承される、チベット医学での
温熱治療を見学することは意義のあることかと思います。
来年もツアーの開催を希望される人々の声が多く、
しっかりとした企画を練ってまいりたいと思います。
2013年12月19日 出版記念講演会
東京品川で開催した出版記念講演会は無事終了しました。
約60名の参加者にお越しいただき、
建築関係者から自然食品を啓蒙する方々、
医師や治療師、セラピストなどにご参加いただきました。
健康をつくる要素には、衣食住があり、
その一つが欠けても健康生活は成り立ちません。
特に「住環境」には、健康の定義がなく、
一般の方が知らない分野も多く存在します。
人の健康に携わる人々にとって共通のテーマであるため
このような多岐にわたる分野の方々に
ご来場いただけたものと思っています。
講話1では、
小生からお話をさせていただきました。
日本の医療の問題、日本における住環境の実情
海外の事例、など広い分野からの切り口で、
今、何が必要なのか、そしてエコボロンはどのような働きを
してくれるのか、など
お話をさせていただきました。
講話2では、
エコボロンの開発者、齋藤社長より
開発の秘話、開発までの経緯、苦労話など
大変わかりやすく話をしていただきました。
講話3では、
医師 陰山康成先生より
ご自宅をエコボロンで施工された体験談、
広い分野での日本の医療のテーマ
そして、新しい技術DNA鑑定による
未来医療の話などをしていただきました。
セミナーの後、ささやかではございますが、
立食のパーティーを行い、
それぞれの分野の方々の名刺交換、情報交換などが
盛んに行わりました。
後日、多くの方々から届いたのお声として
「知らなかった」
「多くの方々に知らせるべき情報だ」
「友人、知人、患者さんに伝えたい」
などをいただき、
改めてエコボロンの普及に力をいれていきたいとの
思いを確認したのでした。
良い社会をつくるためには、
経済原理に基づいた様々な優良商品の啓蒙が欠かせません。
そして、それら商品の背景にある、
社会のテーマを確認し、
啓蒙活動の原動力、モチベーションとしていくことが大切です。
講演を引き受けてくださった、
開発者、齋藤信夫社長
ゲスト講演に駆け付けてくださった
医師、陰山康成先生
司会をしてくださった
井上さん
その他、ご協力を頂いた方々に
心より感謝申し上げます。
シロアリ保証の実態 2013年12月17日
一般の方は、「シロアリ保証」と聞くと、
まず、安心してしまいがちですが、実は注意が必要です。
対象となるのは、
「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」の2種類で、
主に土壌から侵入する日本でメジャーのシロアリのみです。
一般に施主が、シロアリ保証の内容について
しっかりと説明を受けることはありません。
工務店や建築会社の方でも知らない方も少なくありません。
もし説明を受けるとなると、
その間に出てくる質問や会話の中には次のようなものがあるでしょう。
「キクイムシの被害は対象となりますか?」
「ヒラタキクイムシはどうですか?」
「その他にも食害中はありますが、保証は対応しますか?」
「NHKで放映していた、アメリカカンザイシロアリは?」
「あれにやられたら、どうにもならないのですよ!」
(上記はすべてNG、つまり保証対象外です)
「保証は5年ということは、薬剤が5年の効果なのですか?」
「薬剤とは実はどのようなものですか?」
「昆虫には効果があって、人体に影響は影響ないのですか?」
「なぜ、施工業者は原発作業員みたいな格好をしているの?」
(触れたくない殺虫剤の話に流れてしまう)
と、時には話がエスカレートし、
折角の新築に住もうとされる施主さんと、
心が重くなる話をしなければならなくなってしまいます。
保証内容をしっかりと確認しなかった
実際に訴訟に発展した例もあります。
築二年の新築にキクイムシが発生し、
施主さんは、
「保証で対応してください」
と、お願いしたのですが、
「キクイムシは保証対象外です」
と、説明を受け、断られたケースです。
「そんな話は聞いてない!」と口論になり、
裁判に発展したということです。
日本では、
〇土壌から攻めてくる
「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」が多かったこと、
〇対応する薬剤が農薬系の殺虫剤が主流で、
床下や土壌などに限定して使用しないと、
人が住めない環境になってしまうこと
などの理由から、日本での「シロアリ保証」が
この二種類に限定されてきたのだと考えられます。
大切なことは、
建築会社頼りにしないで、ある程度は施主さんも
「自己責任」で勉強し、「判断」「選択」をすることです。
羽のある昆虫を含む、
全ての食害中に対応できる木造住宅をつくるには、
効果が持続できて、人体に影響のない防蟻剤を
選択するしかありません。
屋根裏、壁の中などは、途中で再施工することが困難ですから
効果が持続する薬剤、安全な薬剤を自らが探し出し、
「指定」しなければならないのです。
天然鉱物を主原料とした、
「エコボロン」なら、その要望に応えられます。
「エコボロン」には、新築時最大15年のシロアリ保証が
国内の大手損保会社によって対応されます。
しかし、残念ながら、エコボロンであっても、
他の薬剤と同様に、やはり
「ヤマトシロアリ」「イエシロアリ」の二種類にのみ
対応するというものです。
「保証」とは、第三者が効果を認めた証でもあるため、
判断材料としては、第一ステップであることは事実ですが、
私たちの身の回りには、
最後は「自らの判断」が必要なことも
まだまだ沢山あるということです。
小生は、自宅をエコボロンで施工した際、
木材保存協会の認定取得前でしたので、
シロアリ保証の対応はありませんでした。
しかし、今なら保証に入るかとなると、
エコボロンの性能や保証内容を考えた際、
安い金額であっても、この保証のお世話になろうとは思いません。
知人の家の施工では、すべて無保証で
しっかりと施工をすることのみを考えます。
こういう感覚が、我が身を守ることにつながると考えます。
日本の建築業界とシロアリ処理の仕組み
健康住宅を提唱している建築業者は別として、
一般の建築業界では、「防蟻」についての意識は高くありません。
大抵は、提携している防蟻会社に外注処理を委託しています。
建築会社にとっては、防蟻処理は自分たちの仕事ではなく、
専門業者が行うため、使用している薬剤についての説明が
できる会社は少なく、薬剤名さえも知らないことが一般です。
ですので、施主さんとの打ち合わせでは、
この分野に触れることが少なく、
聞かれたら、
「認定剤を使用しています」
「通常のものを使用しています」
「5年のシロアリ保証がついています」
という程度の返答となります。
建築会社にとって、
殺虫剤系の防蟻剤から、天然系の防蟻剤に
変更することは、一手間かかる作業となります。
エコボロンは原理的には再施工の必要がないため、
様々な理由から、採用を見送るケースがあるのです。
それは、下記の理由からなります。
・自分たちが施工するのではなく、防蟻業者の仕事である
・薬剤の単価が少し上がるので、建築総費用もあがってしまう
・防蟻業者は、殺虫剤系の薬剤について、新築施工のコストを
破格値で提供してくれる
・そのことによって、防蟻業者は5年毎の再施工をする権利が得られ、
将来のビジネスに繋がっている
・防蟻業者にとって、5年毎の再施工を失うことは、
死活問題と考えられてしまう。
・また、5年毎の再施工費が発生すると、
建築会社への利益還元がある場合もある。
などです。
頭では、安全なものが良いと解っていても
ビジネスとして捉えると、
世のため人のためなどと考えていられないことも
世の中には沢山あるものです。
中には、
「自分の家にはエコボロンを使用すると思いますが、
うちの会社ではどうか・・・・?」
という返答も少なくありません。
施主さんが勉強して、薬剤を指定するか、
施主さん思いの建築会社を選ぶしか
防蟻剤について安全な一軒家に住むことは
方法はないということにつながるのです。
健康住宅の会社でエコボロンの説明会 2013年12月12日
今日は、京都府福知山市で健康住宅を創られる
建築会社さんで「エコボロン」の勉強会をさせていただきました。
「健康住宅」というネーミングと共に活動をされる
建築会社、工務店さんに訪問すると、開口一番に
こちらから質問するのは、
「現在防蟻は同処理されていますか?」という内容です。
「あぁ・・・普通のものを業者に依頼しています」
(つまり、農薬系の殺虫剤を使用している)
という、返事が大半を占めているのが日本の建築業界ですが、
今日訪問させていただいた企業は、
「防蟻処理はしていません」
と、キッパリとした返事をされていました。
素晴らしい!
健康住宅を提唱する会社には、
コンクリートで覆う、「ベタ基礎」「紡機認定の基礎パッキン」
「根太には抗蟻性の高いヒバ」という組み合わせで、
シロアリ対策をされているところがあるということです。
意外な話ではありますが、建築会社や工務店にとって
「シロアリ対策」については、彼らの範疇ではありません。
それは、建築基準法を熟知し、法に遵守した建築をする必要があり、
また、その法律も度々変更されるため、
幅広い領域を網羅しながら仕事をされているからでしょう。
本当に、シロアリ被害と、その対策に詳しいのは、
日々、床下を潜って、被害の現場を見ながら対処している
「防蟻会社」であって、「建築会社」ではないことが一般です。
新築を建てるのは、もちろん建築会社ですが、
その新築に「防蟻処理」を行うのは、
「外注の防蟻会社」であることが一般なのです。
様々な工夫によって、シロアリ被害が少なくなっていることは、
とても幸いなことです。
しかし、プロの防蟻会社からすると、
「シロアリ処理をしない、木造住宅ほど無謀なものはない」
と、考えるのが一般です。
そもそも、シロアリ業界は、世間では良い印象がありません。
時折、悪徳業者による、不当な勧誘の記事もあります。
防蟻の必要性を強調すると、世間の悪徳業者の影があり、
難しいところです。
客観的な数字で比較をしてみたいと思います。
一軒家を建てると、必ず火災保険には入らなければなりません。
保険会社の話では、自宅が火災に合うのは、1000年に一度の
割合だと聞きます。
また、海外旅行にも、大抵の人は保険に入ります。
飛行機事故の割合は、10万分の1以下であるとのことです。
では、
シロアリや木材腐朽菌の被害率は如何なものでしょう。
阪神淡路大震災後、大阪市立大学の調査で
明らかになったことは、
調査対象となった841棟中、
木材腐朽菌やシロアリの被害があった家は276棟で、
32・8%であった。
約3分の1の木造住宅に、木材の劣化がみられています。
そして木材腐朽菌やシロアリの被害があった家の全壊率は89%、
被害がなった家の全壊率は50%であったということです。
高温多湿の日本では、対策を怠ると木造住宅は早く劣化し、
耐震性を失っていくことを示しています。
32、8%という数字は、
飛行機事故の10万分の1以下からみると
はるかに高い、我が身に起こる比率と考えます。
「防蟻の奨め」は、強ければ強いほど
同時に世間の目を気にすることなのですが、
「我に立ち返り、親切心から奨める」という
利他の心があると言いたいのです。
環境社会新聞 スタッフMT 2013年12月9日
環境社会新聞という会報誌があります。
最近知ったのですが、毎月の発行で購読料が300円/月、
購読者が12000名程の規模のものです。
民間の情報誌としては、有料購読者がおおく、
引かれるものがありました。
広告を掲載しないで、環境に関する新しい未来への情報のみをチョイスし、普段触れることのできないような、耳より情報も沢山紹介されているものです。
この新聞に関わる幹部の方々の集いがあり、小生も末席ではありますが、参加させていただくこととなりました。
「住環境」というくくりで、近く連載を書かせていただくことにもなっております。
新聞は、広告を入れてしまうと、スポンサーとの関係ができてしまうため、スポンサーが不利になるような、記事は書きにくい現象がおこります。
また、大学教授などの学識のある著名な方の情報ではなく、現場で頑張っている方による記事を主体としているのが、この新聞の特徴で、今後の活躍が楽しみです。
会議では、様々な分野で活躍される方々の発表もありましたが、
原発ゼロに向けての新しいエネルギーのはなし、
ごみ焼却施設に関する、最新技術
農業革命を起こす、耳より情報などもあります。
しばらく、この新聞に投稿させていただきながら、
いろいろな勉強をさせていただくこととなりました。
記事掲載の都度に、このHPでも
アップさせていただきます。
日本の建築業界について思うこと 2013年12月6日
筆者は、もともと健康関連の総合通信販売会社で20年間勤めていました。
健康に係るものなら、日用品、化粧品、雑貨、食品、サプリメントなど、良質なものの情報を全国から集め、会員様に情報誌を作成し、情報の啓蒙と商品の販売活動をしていました。
新しい分野の商品に出会う度に、その分野の社会背景やテーマを知ることができ、20年の活動では、日本全体のテーマについて気づかされる毎日が続いていたのです。
コールセンターには、日々さまざまな問い合わせがありますが、その折住環境についての悩み相談も少なくありません。
マンションの屋上に、電話会社の塔がたって以来、体調が悪くなった。
リフォームをしてから、不調がつづく。
引っ越しをしたが、どうも体調がすぐれない。
など様々です。
私たちの業界では、お客様の声をすぐさま形にすることで、
企業の発展がありました。
顧客のニーズを具現化することこそが、企業発展のカギになると考え実践してきたのです。
起業をした後、縁あって、エコボロンの啓蒙活動をさせていただくこととなり、自ら建築会社に訪れる毎日を続けたのですが、今まで自分の中にあった常識が覆される思いが、建築業界にはありました。
自宅を建設する人にとって、コストはもちろんのこと、耐久性、健康、安全性などへの配慮は当然のことです。
シロアリ予防剤についていえば、日本では殺虫剤が主流で、
アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアなどのシロアリ被害が多い国々では、天然鉱物の「ホウ酸」が主流になっています。
ホウ酸は、天然の鉱物で、住む人への健康には全く影響を与えません。そして再施工がいらないため、施主さんへの経済負担は大きく軽減することとなりますが、日本の建築業界では、スムーズに受け入れられることはありません。
日 本では、ホウ酸系商品の認定取得が遅れていたこともありますが、業界の習わし、日本人の考え方の習慣に大きな壁があり、「良いことを取り入れる」ことが、 「決断できない」、あるいは、「決断に時間が掛かる」「利権があり良いことは解っても採用できない」といった現状があることを知りました。
そして、そこには会社の体質、経営者の理念など様々な理由もあったのです。
食品、化粧品、日用雑貨などについては、消費者が勉強して、安全で良質なものを即購入することができます。
しかし、建築となると、消費者の勉強では簡単に追いつけないところがあり、「専門業者に任せるのが安心」と思ってしまいがちです。
建築法、様々な工法などは、普段勉強できないことばかりだからです。
普段、買いなれていない「自宅」という買い物についても、そもそも「自己責任」を伴うものであり、
購入後後悔するのも、消費者にも責任があります。
タイトルの「日本の建築業界について思うこと」として、
今後の日本では、「正直にお客様に嘘をつかない経営」「正しいことを積極的に勉強して取り入れる姿勢」を持った建築会社を応援したいと思っています。
同時に、消費者も「自己の責任」で、建築に限らず、すべてのものについて興味関心を抱き、正しい情報を得ていくことが大切になるでしょう。
また、そのような会社が口コミで消費者の支持を得られる、「本物の時代」が来ることを願っています。
何故書籍が必要だったのか? 2013年12月4日
自宅を建てるという経験は、そう度々訪れることではありません。
まして、建築基準法、土地の取得、ローンの契約など、
慣れない作業に戸惑い、あわただしく続く間取りの打ち合わせでは、
迫られるように、次々と確定しなければならないことが沢山あります。
「シロアリ処理はどうしますか?」
と聞かれても、自らが調査をして、納得の行くものを
指定する余裕などは全くありません。
「通常のものをお願いします」
と、ついつい流してしまうのが一般的でしょう。
また、建築会社にとっても同様で、
頻繁に変更される建築基準法に対応し、施主さんへの価格負担を
できるだけ抑えようとすると、
現状の殺虫剤は、新築時の施工についてだけを考えると、
「安価な認定商品」のであると考えられています。
同時に「シロアリ処理」は、大工さんの仕事ではありません。
「シロアリを散布する業者さん」の仕事であるため、
そのものが海外でどのような基準にあり、医療の世界でどのような
評価が得られているかなどは、全く気に留めないことになってしまっています。
施主さんが、「シロアリ処理は天然のホウ酸でお願いします」
と、声を上げなければ、多くの建築会社、工務店では、
自動的に従来の薬剤を使用することとなります。
家を建てる人は、大抵3~5冊程度は、関連書籍を読まれます。
数千万円の買い物に、意を決して行動に移すのですから。
キッチンのスタイルや、カーテンの色を施主さんが指定できるように、
構造材の劣化を食い止める薬剤の指定を、
施主さんがしなければならない環境が、この国にはあると考えたからです。
そして「ホウ酸処理」は、単なる「シロアリ対策」にとどまるものではありません。
○高温多湿の日本では、木材はゆっくりとでも、腐敗しやすい環境があります。
○シロアリにも、アメリカカンザイシロアリという外来種が、日本で猛威を振るっています。
○再施工が必要な薬剤では、維持コストが予想外の負担になります。
○地震大国日本で、木造住宅の耐震性を維持するためには、
○家全体の構造材に防腐・防蟻処理を施す必要があります。
○木造住宅の欠点といわれる防火対策も気になるところです。
正気、書籍を書き始めたころは、
殺虫剤 → 天然のホウ酸 で安心
という趣旨が頭の中心にあったのですが、
必然として勉強する中で、
「木造で家を建てるのであれば、そもそもの必要事項」
として、ホウ酸処理を施さねばと思い至ったのです。
今の日本では、「家族の健康を守る」と考える場合、
自らが立ち上がり、勉強をしなければならないことが沢山あります。
そのためにも、一般の方々にしっかりとした情報が伝えられる
「書籍」が必要だと思ったのです。
出版趣旨 2013年12月4日
自宅の床下に殺虫剤がまかれている・・・
誰もが耳を疑いたくなることですが、日本の木造建築では通例のことです。
アメリカ・ニュージーランド・オーストラリアなどの先進国では、
新築でシロアリ被害の全くない木造住宅へ、殺虫剤を使用することはありません。
しかし、殺虫剤でも必要な時はあります。
日本は殺虫剤大国で、経済の成長に欠かせなかった新技術であり、
これまでの社会づくりにお世話になってきたものでもあります。
本書では、事実をできるだけ解りやすく述べていますが、
殺虫剤のすべてを否定するものではありません。
また、天然のホウ酸は人や動物には安全なものではありますが、
よく理解して使用しないと、効果が発揮できないこともあります。
そして、それぞれの効果に際し、国内でデータがとられていることも重要です。
○ 被害を食い止められるもの
○ 被害を軽減できるもの
○ できないこと
などを明確にし、できるだけ詳しく掲載させていただきました。
世の中には、良い商品でも過ぎた説明によって悪評が立ち、台無しになることがあります。
木造住宅へのホウ酸処理も同様で、高温多湿の日本での必要性、
日本の木造住宅の現状、そして、海外で培った実績などから
バランスの取れた告知を心がけました。
出版に際し 2013年12月4日
健康な住まいづくりをめざし、様々なノウハウを蓄積してまいりました。
その折4年前、実際に自宅を建てることになり、今まで知らなかった「シロアリ処理」というテーマに触れることとなりました。
それまでは、体に良い情報ばかりに気を取られていましたが、日本ではシロアリ処理に殺虫剤(農薬)が普及していることを知り、まず、「自分の家には安全なものを」と、探し当てたのがエコボロンでした。
縁あって、エコボロンの普及活動をさせていただくこととなり、日本の建築業界の習わしや、この業界の流れを深く知ることができました。
殺虫剤は、被害の広がった個所への使用には有効です。
しかし、全く被害の無い新築時から大量にまいた家に住むことに、快く理解するひとは少ないでしょう。
商品による適材適所の用途、海外の事例、データ、昆虫の生態系などを理解し、天然のホウ酸が日本の建築業界にもっと浸透することを願い、出版することを決めました。