海外から入って来た空飛ぶ侵入者

       「アメリカカンザイシロアリ」

2009年1月に、NHKの「クローズアップ現代」がアメリカカンザイシロアリの被害にスポットを当て、全国に放映したことによって、多くの人に知られるところとなりました。
番組によると、被害は26の都道府県に広がっており、ある住宅密集地では、80棟からの被害報告があるというのです。

アメリカカンザイシロアリは、その名のとおり、乾燥した木材を好み、羽アリが木材にいきなり入り込んで、そこを巣にします。
彼らは床下にこ蟻道などつくりません。羽をはばたかせて空を飛び、住宅の2階からでも屋根裏からでも自由に侵入してくるのです。そして、乾燥した2階部分の柱や天井、家具、木製品など、いたるところに巣をつくっていきます。

近年、アメリカカンザイシロアリの被害が全国的に広がりを見せているのは、引越しによる家具の移動などが背景にあるのかもしれません。
これまで床下のシロアリだけを警戒していた日本のシロアリ対策は、この厚かましい外来種の完全な後手に回ってしまいました。なにしろ湿気を好むヤマトシロアリ、イエシロアリ、木材腐朽菌などに対応して、床下や壁の中に湿気がたまらないように工夫してきた優良住宅が、今度は乾燥を好むアメリカカンザイシロアリにとって、格好の標的になってしまうのです。

大手シロアリ防除業者の報告によると、今話題になっているアメリカカンザイシロアリは、10軒に1軒程度の確率でしか完全駆除ができないという、やっかいな害虫です。駆除できなかった残りの9軒は何度も何度も駆除処理を繰り返すことになります。
また、アメリカカンザイシロアリの駆除に1軒だけが成功しても、駆除効果は持続しませんから、近隣のアメリカカンザイシロアリに蝕まれた家から、再度飛来して侵入されてしまう危険が高いのです。
非常に厄介なアメリカカンザイシロアリですが、新築時に「家一棟まるごとエコボロン処理」をすることで、このような悲劇の心配からは解放されます。

やっかいなことに、アメリカカンザイシロアリの被害は、現在ではシロアリ保険の対象になりません。ヤマトシロアリとイエシロアリしか想定していない建築基準法では、防蟻処理は地面から高さ1メートルまで行なえば良しとされています。したがって、2階からでも屋根からでも入ってくるアメリカカンザイシロアリに対しては、なんら対策がとられていません。ですから、保険の対象にはできないのです。まさにお手上げ状態だといえるでしょう。一日も早い対策基準が設けられることを祈るしかありません。

アメリカでは、このシロアリの予防には、ホウ酸処理を行なうことが一般的になっています。アメリカでこの種のシロアリによる被害が発生してから長い年月が立ちますので、様々な対策が講じられてきましたが、もっとも効果的な予防法は、家全体をホウ酸処理することだという結論にたどりついたのです。

Facebook 只今準備中↑↑